春菊とオリーブオイル
一年のうち、最も寒さが厳しいこの季節。食卓で温かな鍋を囲むシーンも多いのではないでしょうか。今回のテーマは、その鍋にもよく使われる『春菊』と、オリーブオイルについてです。
実はこの春菊、日本のお野菜でオリーブオイルに合うと私が感じているものの中でも、かなり上位に位置する食材です。
特に、「辛みや苦みの風味が強いオイルには、何が合うでしょうか?」という質問をいただいた時は、必ず選ぶ食材でもあります。
お鍋以外ではあまり頻繁には召し上がらないお野菜かもしれませんが、オリーブオイルと合わせると、意外なおいしさが発見できるかもしれません。
<春菊を生でサラダに>
春菊というと、火を通して召し上がるイメージがあるかもしれませんが、新鮮なものは、生で食べてもおいしいお野菜です。和のハーブと言えるような特有の香りや、ほのかな苦みがあり、葉はやわらかく、アクが少ないので、サラダとしていただくにもおすすめです。
オリーブオイルと組み合わせてサラダにするときのおすすめは、【ほんの少しのお醤油とオリーブオイル】です。とてもシンプルな食べ方ですが、春菊にもオリーブオイルにもそれぞれ風味があるので、これで本当に充分、おいしくいただけてしまいます。
ほかのお野菜やゆでたお肉、えび・たこ、ほたてなどの素材を合わせたサラダにするのも、もちろん良いと思います。
辛みや苦みの風味が強いタイプのオイルが合う、と前述しましたが、クセの強いもの同士なので、本当に?と思われるかもしれません。そこで、オリーブオイルのタイプの違いで、味わいを比較してみました。(いずれもお醤油と合わせて)
<比較したオリーブオイルの種類>
① 「青々しい香り・香り、苦みが強めなエクストラバージンオリーブオイル」
② 「香り・苦味・辛味、いずれもマイルドなエクストラバージンオリーブオイル」
① は、オイル自体のクセも強いにも関わらず、不思議と調和して、心地よいバランスの風味になり、春菊の甘みも感じられました。春菊特有の青臭さやえぐみなどがほとんど気にならなくなります。
② のマイルドなタイプも悪くはありませんが、①のほうが断然、コクと味わいの奥行きが感じられました。
タイプの違うオイルを比較してみたことで、オリーブオイルと食材のマッチングでは、やはり、強い風味の食材には強いオリーブオイル、と改めて納得しました。
なお、実は、番外編で上記2種類のほかに、サラダ油でもやってみましたが、ここはやはり、圧倒的にエクストラバージンオリーブオイルに軍配が上がりました。
<春菊の白和えを応用して>
和食では、春菊を白和えにするというのは相性の良い組み合わせとして知られています。
【お豆腐、ごま、しょうゆ、砂糖、だし】を合わせてすり鉢であたり、ゆでた春菊とあえると、風味の強い春菊と、まろやかで甘みのある和え衣との組み合わせがとてもおいしい一品になります。
この春菊と豆腐という組み合わせは、オリーブオイルでも応用できるので、ご紹介します。
使うのは、【木綿豆腐、春菊、エクストラバージンオリーブオイル、しょうゆ】、
この4つだけのとてもシンプルな材料です。
エクストラバージンオリーブオイルが、風味やコクをプラスしてくれて全体の味わいをまとめる役割をしてくれるので、ごくシンプルでもおいしい、という組み合わせになります。また、お砂糖の甘みは入りませんが、オイルによってお豆腐の甘みが引き出されて、物足りなさは感じないと思います。
ただこのとき、オリーブオイルのタイプは、①と②でいくと、②のマイルドなタイプのほうが、とても良く合いました。
それは、味のまとめ役のお豆腐が入ったため、やさしい甘みを持つお豆腐にはマイルドなオリーブオイルの方が、バランスが良かった、ということだと思います。
オリーブオイルならではのお料理の引き算や、和の食材との組み合わせの発見は、とてもおもしろいですね。なじみのある食材でも、新たなおいしさの発見につながることもあると思いますので、ぜひいろいろとお試しください☆