閑静な高級住宅街として知られる広尾は、カジュアルからハイクラスまでさまざまに美味しいものが楽しめる街です。日赤通りに位置する「Si(シィ)」は、一日限定8名まで、お子様お断りのレストラン。ドアを開けると、建築家でありプロダクトデザイナーでもある渡辺史門シェフ独自の感性あふれる洗練された空間が広がっています。
一見してシックなモノトーン。そこに対比するグリーンや花の鮮やかさ、土や木の質感の温かみ、壁にデザインされた店のロゴはただただ美しいの一言。こうして訪れる客は、まずたたずまいから史門ワールドに魅了されていくのです。

店のコンセプトは「無垢」と「調和」。無垢材や自然素材にこだわった設計やデザインを仕事としてきた渡辺シェフは、仲間と4名でその美学を生かした店を開きました。食べ歩くことも作ることも好きで、料理好きが高じて独学でシェフになったというのだから驚きです。
砂糖は使わず、調味料も多用せず、素材そのものを生かす。塩でさえ、将来的には使わない料理を作ってみたいといいます。これがどれほど難しいことか、料理を作ったことがある人ならわかりますね。夜のみの営業ということもあり炭水化物は豆や野菜から、揚げ物も作らない。デザートもみりんを煮詰めたものや果物を使った自然な甘みを利用して作ります。

食がからだを作ると考える渡辺シェフの料理は、繊細な味わいの「無垢」なナチュラルキュイジーヌでありながら決して菜食的ではありません。中心となるのは肉であり野性味にあふれたアグレッシブなもの。合わせて出されるビオワインや日本酒のセレクトにも唸らされます。店を構成するすべての「調和」を考えたペアリングコースを楽しんだあとは、大きな木のテーブルに移りゆっくりとデザートを。アラカルトの日は、多才なシェフの遊び心が入った料理やパン、ご飯メニューも登場します。その比較もまた楽し、です。

オリーブオイルはサラダ、スープ、焼き油にソースと、多くの料理に使うメインオイル。シチリア産は3種類でブレンド・単一品種・柑橘果汁入り、ウンブリア産は1種類、加えて南仏産と、多種多様なエクストラバージンを揃えているそうです。
スペシャリテのひとつ、ふわっとジューシーな自家製ブーダンブランに添えられたのは隠し味にごまを使ったナッティなフムスとオリーブオイルでした。小さなディルの花の風味が前回とはまた違う美味しさを生み出し、レシピが変わったのかと思うほど！進化、変化し続けるレストラン「Si」から、しばらく目が離せそうにありません。

シェフのオリーブオイルレシピも続けてご覧下さい！
↓
【生ハムとクレソンのポテトサラダ】

【トマトのソルベ】

【摘果メロンのオリーブオイル漬】

【Si（シィ／東京・広尾）】
住所　▶東京都港区南青山7-14-6 本間ビル 4F
電話　▶ 03-6451-1572
営業時間　▶： 【月水金日】19：30一斉スタート（ペアリングコースのみ）
　　　　　　　 【木土】19：00 ～ L.O.22：30（アラカルトメニュー）
定休日　▶火曜日
HP　▶　http://www.si-4.com