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寒しじみとオリーブオイル

しじみは、年間を通して食べられていますが、特に1~2月頃は寒しじみ、7~8月頃は土用しじみとして、2回の旬があります。まさに今がその寒しじみの季節です。
その楽しみ方のひとつに、オリーブオイルを使ったお料理も加えてみてはいかがでしょうか。寒しじみの特長や、おすすめの合わせ方などについて、ご紹介したいと思います。

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<旬のしじみの特長>

年に2回ある旬のうち、土用しじみと言われる7~8月頃は、産卵期を控えた時期で、身が最も大きく太ります。ぷりっとした身のおいしさを味わうには一番適した時期と言えます。
それに対して、寒しじみと言われる1~2月頃は、生息場所の水温が最も低くなり、しじみは成長を止めて、じっと栄養を蓄えます。濃いうま味とコクが深まるのが、この時期の特長です。

しじみは、あさりと同様、貝類に特徴的な、コハク酸といううま味成分が豊富です。あさりと比べると身は小さいので、身を食べるよりも、だしとしての役割が大きいように思います。
寒しじみは、そのうま味が最も深まるタイミングのものですので、その味わいを活かして、いろいろと楽しんでいます。
お吸い物やお味噌汁はもちろん、鍋だしやうどんだしにしたりもします。それ以外にも、レパートリーを広げるアイテムとして、オリーブオイルはなかなか良い組み合わせではないかと思います。



<オリーブオイルを合わせる効果について>

しじみには、特有の泥臭さがあります。貝類特有のえぐみも、あさりより強くあります。それを緩和するために、和食では清酒を加えてすまし汁にしたり、消臭効果のある味噌を合わせたりするのは、おいしくいただくための方法としてとても理にかなっています。

オリーブオイルにもまた、その効果があると実感しています。
オリーブオイルは油なので、清酒や味噌とは違うお料理の幅ができるというのも魅力だと思います。

例えば、ザク切りにしたキャベツをフライパンに敷いて、しじみをのせ、にんにく、清酒、塩、オリーブオイルを加えてフタをして蒸してみると、しじみのうま味がしみたキャベツはとても甘くまろやかで、香りの良い一品に仕上がります。長ねぎを加えてもおいしいです。

また、オリーブオイルでにんにくやしょうがを軽く炒めたところに、水としじみ、かぶや大根などのたんぱくな味わいの野菜を加えて煮て、塩で調味すれば、風味豊かなスープに仕上がります。

しじみのだしは、キャベツやかぶ、大根、白菜といった、やさしい味わいで甘みのある野菜との組み合わせはおすすめですが、そういった素材と組み合わせるときは特に、臭みが気になりやすいので、オリーブオイルの効果がより発揮されるように思います。油ならではのコクも加えることができます。

ここで使うオリーブオイルのタイプとしては、辛味・苦味が強くないものがおすすめです。しじみだしや野菜の繊細な味わいは、まろやかな風味のオリーブオイルのほうが活きると思います。ただし、オリーブオイルを薬味のように仕上げにかける時は、お好みによっては、強い風味のタイプをご使用になっても良いかと思います。



<おいしさを左右する大事な下ごしらえ>

しじみやあさりには、砂抜きがつきものです。お料理がおいしくできても、ジャリっとした感触があると、一気に気持ちが落ち込む、という経験、ありませんか?

砂抜きのコツは、貝が生息していた場所の状態に近づけて静置し、安心してのんびりと呼吸をさせることです。

あさりの場合は海水に近い、約3%の塩水が必要です。
しじみの場合はというと、海水と淡水の混ざった場所に生息しているので、真水ではなく、約1%の塩水のほうが良いです。

500mlの水に、小さじ1(約5g)の粗塩を溶かしたら、面積の広いバットなどなるべくしじみが重ならないように入れ、アルミホイルや新聞紙などで覆って、できれば3時間ほどおいておくのが良いですね。
そうしましたら、使う前に、殻をこすり合わせるようにしてよく洗います。これによって、殻の隙間に入りこんだ汚れが落ちて、臭みがかなり軽減できます。

こすり洗いをしてから砂抜きするよりも、砂抜きをしてから洗ったほうが、砂抜きがスムーズにできます。先に洗った場合、洗う時の衝撃で貝がしっかりと閉じてしまい、ゆるんで砂を吐き出すまでに時間がかかってしまうのではないかと思います。これは、あさりの場合も同じです。

今回は旬の寒しじみをテーマにしましたが、旬ならではの素材の味わい方が、オリーブオイルで広がるというのはとても楽しいですね。ぜひ、お試しください☆



 

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