小豆島・海音真里のオリーブ会席
ずっと、ずっと憧れだった「島宿真里」。小豆島の恵みと名産である醤油を使った「醤油会席」とお部屋にあるかけ流しの温泉を楽しみにいつか訪れたいと思っていました。加えて2019年4月、近くの静かな海辺にワンランクアップした「海音真里」が誕生し、こちらはなんと「オリーブ会席」を供するというのです。海と海に挟まれた小豆島の中でも希有な立地の海辺に建つ、たった6室の小さな宿は、部屋からだけでなくお風呂からも静かな美しい海が望めます。どうせ行くなら両方の宿を続けて訪ねたい! その願いがようやく叶ったのが今回の旅でした。
ディナーは、いちご甘酒にゆずのフレーバーオイルを浮かべた一杯からスタート。シグネチャーメニューという「小豆島産自然薯そのまんま」は、合わせるオイルのためにあつらえた自家製の味噌、もろみのパウダーなどが添えられます。椀ものには温かなだしにオイルを落とすことで立ち上る香りを楽しみました。
お造りにはオイルのほか、塩やすだち、生醤油、特製もろみなどがセットで出され、好きに調味していただく趣向。たとえば、オイルとすだちでカルパッチョ風に味わったりもできるのです。名産の生そうめんを使ったオリーブ地鶏のつけ麺にもオイルを絡めていただきました。
オイルとの相性を考えた料理の数々
この日一番衝撃を受けたのが、実はお口直しのソルベでした。自家菜園のローズマリーを香らせたミルクソルベに、オリーブオイルの層が挟み込まれていて、食べるたびに口どけるのです。さっぱりとしたソルベだからこそオイルのコクや味わいが際立つのでしょう。冷たくすると固まるオリーブオイルの性質を上手く生かした一品でした。
オリーブを与えて育てる牛や鶏なども名産となっており、連泊するとオリーブ牛をそれぞれ違う食べ方でメインとしていただけるのも魅力です。そして島醤油とオリーブオイルを塗って炭火でこんがり焼き上げたおにぎりをお茶漬けにするという凝ったお夜食にも感動!
島の恵みを生かし切る「オリーブオイルペアリング」
オリーブ会席は品種による味わいや、ヌーボーなどの鮮度を生かしたフレッシュ感を料理ごとに合わせて供する「ペアリング」のようだと思いました。しかも、卓上には使われたオイルが並べられるため、食べ手の好みによってアレンジもできるのです。
醤油会席でもオリーブオイルはふんだんに使われており、「オリーブごはん」は特に素晴らしいものでした。塩の浅い新漬けのオリーブを島産のお米に炊き込みたっぷりとオリーブオイルをかける食べ方は真似してみたいですね。
海音真里は新しさもあり、いろんな意味で島宿真里よりも快適に過ごすことができましたが、お料理はいずれも甲乙つけがたい素晴らしさ。ふたつの宿をはしごするように泊まることで、小豆島愛溢れる「真里」の料理を堪能できます。予約至難ですが、早めに予定を立てられればぜひ訪ねてみてくださいね。
◆海音真里/島宿真里
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