北半球のオリーブオイル、ノヴェッロのシーズン
収穫したて、搾りたてのオリーブオイルを「ノヴェッロ」と言います。
北半球のオリーブは、今が収穫の最盛期を迎えていますので、イタリアなどからの、期間限定「ノヴェッロ」に出会えるタイミングです。
以前、夏の時期に、南半球のオリーブオイルの旬について書かせていただきましたが、気候が逆になる北半球の搾りたての旬は今。
北半球、南半球も含め、オリーブオイルにまつわる旬情報を、改めてお伝えしたいと思います。
<収穫したてとその後>
オリーブオイルは、油という調味料として、年間を通して変わらないものと思われがちですが、実は、そうではありません。
収穫時期は、かなり短い一定期間だけ。そこで一年分のオイルをまとめて搾り、次の収穫まで、なるべく良い状態を保つ工夫をしながら、消費をしてゆきます。
香りと、苦み・辛みの味わいが、もっとも強いのは、収穫したてのタイミング。
オリーブオイルとしてのパフォーマンスがもっとも現れている時期といえます。
それが、「ノヴェッロ」として味わえるということです。
そこから、香りも味わいも、時間の経過とともにおだやかになってゆきます。
先日、国内のあるイベントに関わらせていただいた際に、今年のイタリアの「ノヴェッロ」を5種類ほど、テイスティングさせていただく機会がありました。
10月中旬でしたが、その前の週に、生産者の方は徹夜で準備をして日本に持ち込みをされたそうで、貴重な機会に合わせて今期のオイルの特長的な状態を試してほしい、という情熱が伝わってきました。
私としても、1年間の生育の集大成を味わわせていただくことに、背筋がびしっとのびる気持ちになりました。
こうは言いましても、収穫したての時期以外は、品質が悪い、ということではありません。
香りや味わいがおだやかになってゆく魅力もありますし、もともとの品質が高いほど、品質の変化が少ないことから、生産者の方々は、さまざまな工夫をし、栽培や搾油、保存の技術を向上させる努力を常にされているのです。
<ノヴェッロ?新油?>
年内のノヴェッロのシーズンとは別に、日本国内でのエクストラバージンオリーブオイルの新油が豊富になるタイミングは、年明けの2月くらいが盛りとなります。
あれ?ノヴェッロは搾りたてなら、新油って何?と、疑問がわきますよね。
ノヴェッロというのは、搾りたてであるからこそ、状態の変化が激しい側面もあるんです。
搾りたてのオイルには、オリーブに含まれている実のこまかなかけらや水分がそのまま含まれていることがあり、それが、状態変化を早める原因になります。
ノヴェッロを入手された方には、なるべく早くお使いになることをおすすめしているのはそのためです。
貴重なオイルだからといって、大事に何ヶ月もとっておくのはNGですよ!
1ヶ月以内には使ってしまいましょう。
新米をおいしいうちにいただくという感覚に似ているかもしれませんね。
そこから通常、フィルターによるろ過や、余分なものを沈殿させる工程を経て、状態が安定しやすくなってから、瓶詰めされて、製品化されます。この状態が、一般的には年明けから出回る北半球の産地の新油。
(あくまでも一般情報です。表現や製法、タイミングについては、メーカーさんなどにより異なります)
オイルの状態を保つための保存の際の技術として、一例のご紹介ですが、「窒素充填をする」という技術が取り入れられている場合があります。
オリーブオイルは、空気に含まれている酸素と触れていると、どんどん酸化が進み、それによって香りや味わいの変化が加速してしまいます。
その空気を、窒素に置き換えて密封保存することで、酸化を進ませない保存をする技術です。
オイルをまとめて大きなタンクで保存するときや、1本ずつの瓶にボトリングするときにも、有効な技術だそうです。
そのほかにも、保存容器の材質の工夫や、空気が入りにくいような注ぎ口の形状などなど。
そんなことも頭の片隅に置いていただきながら、またさらに、オリーブオイルライフを楽しんでいきたいですね☆