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【美食探訪】カ・デル・ヴィアーレ(京都・二条駅)

ブームになるずっと前から京野菜をメニューに取り入れ、その抜群の使い手として知られたシェフは、オリーブオイルに魅せられ、「店で使っている商品をお客様にもおすすめしたい」と販売を始めてしまったほど。オリーブオイル愛の強さがうかがえますね。

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京都一長い三条商店街を抜けた千本通りから、高架を越えてすぐ。二条駅から歩いても5分とかからないところにたたずむ瀟洒な白い一軒家が、「カ・デル・ヴィアーレ」だ。はためくイタリアの国旗、テラスの青いパラソルが目に爽やかで美しい。

ピカピカに磨き上げられた清潔なオープンキッチンに立つのは、渡辺武将(たけまさ)シェフと息子の一輝さん。マダムの奈美さんは、ほかのスタッフとともににこやかに客席のサービスに回る。料理人を目指した頃、こんな風に一家で店を切り盛りすることなど、きっと考えもつかなかったのではないだろうか。シェフもマダムもまだ若い。「息子なんです」と一輝さんを紹介された時は驚いた。そしてなんて素敵なんだろうと、ますますこの店が好きになったのだった。

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名店での経験を糧に独自のこだわりをつらぬく

京都の老舗イタリアン、東京の人気リストランテと名店で経験を積んだ渡辺シェフは、二条城そばの小さなリストランテから独立をスタートした。独立前に上賀茂の農家で畑仕事をし、実際に美味しい京野菜に触れたことから、野菜を生かしたメニューを考えるようになったが、今のように京野菜がもてはやされてはいなかった時代。メディアの注目を浴びる一方で、野菜メニューへの一般的な理解を得るのに時間もかかった。

時代が渡辺シェフに追いついてきたことは、今の京野菜ブーム、それを売り物にした店の多さをみればわかる。むしろ最近の彼は、野菜へのこだわりを特に押し出すこともない。京野菜は農家との長いつきあいの中で当たり前に仕入れ、変わらず使い続けているからだ。カウンターからはシェフの手元やきびきびした動きを眺めながら、食事を楽しむことができる。ほとんどのグラスワインは、カラフェが用意されているのも嬉しい。

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イタリア全土から選びぬいたオリーブオイル

「にんにくや唐辛子はほとんど使いませんね」

【手打ちのパッパルデッレ 仔牛とヘーゼルナッツのラグーソース】は、想像していたトマトで煮込んだ赤ではなくチーズで挽肉をつないだ北イタリア風の白いソース。ナッツはシチリアのアーモンドに対し、ピエモンテだとヘーゼルナッツを使うそうだ。ワインやチーズもピエモンテ産にこだわる。トマトやにんにく、唐辛子を多用する南イタリア料理とは一線を画するが、数種使い分けているオイルは全土から選びぬいたもの。香りに惹かれたシチリア産も愛用している。

「そうそう、オリーブオイルといえばそのガトーショコラ、食べて見てください。軽いんですよ、本当に!」

バターの代わりにオリーブオイルを使って焼き上げたガトーショコラは、しっとりとしながらもふんわり軽い。スペシャリテにしてもいい美味しさだ。また懐かしい昔ながらの味わいそのものなのに、とろんと柔らかな食感のプリンも試行錯誤の末編み出したものだという。渡辺シェフの思いから生まれた、系列のカジュアルイタリアンやナポリピッツアにも伺いたいと思いつつ、そんな彼から目が離せずつい、また、ここに来てしまうのである。次回こそ!


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編集後記~シェフのオリーブオイルライフ!

カ・デル・ヴィアーレでは、自家製フォカッチャにあわせて小皿に入れたオリーブオイルが供されますが、リクエストすれば違う種類も出してもらえます。オリーブオイルの話となると、つい熱が入り瓶を並べ出す渡辺シェフは、本当にオリーブオイルが好きみたい(笑) また、カ・デル・ヴィアーレではピュアオイルを使わず、すべての料理にエキストラバージンオリーブオイルを使うんですって!

「今のイタリアを肌で感じたい。自分の原点回帰のために、毎年研修に行きます」

ワインのぶどう収穫を兼ね、スタッフを連れてイタリアを訪ねるというお話、素晴らしいと思いました。調理の世界に入って3年目の、一輝さんの将来と成長も楽しみです。

 

【カ・デル・ヴィアーレ(京都・二条駅)】
住所 ▶ 京都府京都市中京区西ノ京千本三条西北
電話 ▶ 075-812-2366
営業時間 ▶ 11:30~14:30(L.O.14:00)
       18:00~22:00(L.O.21:30)
定休日  ▶ 月曜
HP  ▶ http://www.watanabechef.com/ca-del-viale/

 

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