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酒かすとオリーブオイル

酒かす、というと皆さん、どんなイメージをお持ちでしょうか?
かす汁、かす漬け、多くの方が思い浮かべるのは、そのあたりかもしれません。

実は先日、『酒かすとオリーブオイル』というテーマで、新潟県の、ある酒蔵さんとコラボレーションし、クッキングセミナーを開催しました。
オリーブオイルと合わせることで、炒めものや煮込み料理が、ぐっとおいしくなって、酒かすの概念が変わる、という実感がありましたので、今回は、そちらを含めた情報をお伝えしたいと思います。

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<酒かすとオリーブオイルの組み合わせ>

酒かすは、それだけで料理に使うと、特徴的な香りや味わいが強くありますね。かす汁やかす漬けは、その味わいを活かした、(その味わいがしっかりと感じられる)料理法だと思います。ただ、逆にその香りが苦手という方も多いのでは?
そんな時にオリーブオイルが活躍します。酒かすとオリーブオイルを組み合わせて加熱調理すると、酒かすの特長的な香りや味わいが控えめになり、うま味だけがグッと引き立ちます。
またほかの油ではなくオリーブオイルを使うことで、オリーブオイルが持っている風味と合わさって、よりコクが深まるという効果が生まれるのです。


<酒かすとオリーブオイルでおすすめのメニュー>

まずはじめにおすすめしているのは、「炒めものに加える」という方法です。

実施したセミナーでもご紹介したのは、「生鮭と春キャベツのガーリック炒め」。
にんにくの香りをオリーブオイルで引き出して、塩だけで味つけするお料理ですが、酒かすを加えて炒めることで、シンプルな調味料だけでは出にくいコクとうま味を加えることができました。
鮭を、いかやえびといったほかの魚介や、鶏肉や豚肉のお肉に置き換えたり、野菜をアレンジしていただいても、いろいろ応用ができますね。
セミナーにご参加いただいた皆様からは、「塩だけの味つけとは思えない」、「酒かすのにおいがしなくてすごく食べやすい」、といった感想が出ていました。


さらに、トマト缶とのコラボもとてもおすすめです。

これからの季節であれば、夏野菜(なす、ズッキーニ、パプリカ、フレッシュトマトなど)をオリーブオイルで炒めてからトマト缶を加えて煮る、というお料理(ラタトゥイユ)を作るとき、具をオリーブオイルで炒めてから、トマトを入れて煮るときに酒かすを加えると、トマトの酸味がやわらいで、ぐっとうま味が増します。こちらも、塩だけの味つけで十分おいしく仕上がります。
冷めてもおいしく、常備菜にもなります。お肉を加えると、ボリュームのあるおかずにもなります。
セミナーでも、大変好評の一品でした。ほかのトマト煮のメニューにも、いろいろ応用がきくと思います。

このように、日本の伝統的な食材とオリーブオイルの組み合わせによって、いつもの手軽な料理がよりおいしくなったり、洋風のメニューでもおいしさアップの効果が実感できたりと、可能性が広がるのは、とても面白いですね。



<酒かすをいつもの料理に使いやすく>

酒かすは、市販されているものは、板状の「板かす」、もしくは、こまかくほぐれたものがひとまとまりになった「バラかす」が多いです。
どちらも、そのままお料理に使うには、溶けにくく、素材となじみにくいので、私はあらかじめ水を合わせて混ぜておき、「酒かすペースト」にしてストックしています。
板かすであれば、適当にちぎり、バラかすであればそのまま、容器に入れます。
酒かす200gに対し、水200mlを加えて、30分ほどおいておくと、混ぜやすくなり、よく混ぜると、酒かすペーストが出来上がります。
お味噌よりも少しゆるい、なめらかな状態にしておき、タッパーなどにストックしておくことで、いつでもすぐに使いやすくなります。冷蔵庫で2週間ほど保存できます。


<酒かすの特長>

酒かすはどんなもの?ということについて、少々解説もしておきたいと思います。

ごく簡単に言うと、米、麹、水を発酵させてできるもろみから日本酒を搾り、残った固形成分が「酒かす」です。
約8%ほどのアルコール成分が含まれているので、お酒に弱い方や、お子さん向けには、加熱してアルコールを飛ばして使う必要がありますね。
うま味成分であるアミノ酸が含まれているので、お料理に使うと、コクとうま味がぐっと加わります。

また、たんぱく質やミネラル、ビタミンB群、アミノ酸、食物繊維、ペプチド、β―グルカン、葉酸などが含まれていて、レジスタントプロテインという成分も含まれていることが報告されています。

もっとも聞きなじみのない「レジスタントプロテイン」は、悪玉コレステロールを下げるはたらきがあるという研究結果があるようですが、さらに様々な研究がなされているようです。
「酒かす」は、たんに日本酒をしぼった残りものではない、魅力的な面が多くあるようです。



「酒かすとオリーブオイル」は、食材や調理方法が豊富な日本の家庭料理ならではの組み合わせ方だと思います。意外なおいしさを発見していただけると思いますので、ぜひ、お試しください☆



 

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