【美食探訪】ビストロ・オーセンティック(千葉・松戸)
フレンチ出身の中塚シェフと編集者出身の森泉シェフ。暮らしのパートナーでもあるふたりのシェフが、店のすべてを切り盛りする洗練されたベトナミーズは、素材にこだわりハーブや野菜がたっぷり。お店では使わないけれど、プライベートで愛用しているというオリーブオイルの使い方も伺いました。
松戸駅は千代田線が乗り入れており、JRなら上野駅から20分。ここからバスで15分、乗り換えや徒歩時間含めても1時間足らずという立地の「ビストロ・オーセンティック」。そのユニークさで最近注目を集めている「南部市場」という場外市場がすぐそばにある。バス停「野菊野団地」で降りて数分。市場のそばなので夜は少々さみしいが、昼ならついでに市場を訪ねるのも面白そうだ。
オーセンティックは高円寺から浅草に店を移し、5年目が過ぎた。浅草駅のレトロな地下街の小さな厨房で作り出されるベトナミーズの美味しさにリピーターがあとをたたない人気店だったが、ふたりの住まいに近い松戸に昨年秋、移転。現在、曜日を分けて浅草店と松戸店で営業している。
ベトナム料理への強い愛と誇り
「生春巻きはもうメニューから外そうかと思ったこともあるんですよ」
そう聞いたときは驚いた。店のファンからもやめて欲しいと懇願され、結局オンメニューとなっている生春巻きは、他店に比べ圧倒的に野菜の量が多くふわっと柔らかく巻かれているのが特徴だ。
「ベトナム料理といえば生春巻。それしかイメージがないのが悔しかった。もっと色々な料理があること、もっと奥深い美味しさがあることを知ってほしかったんです」
けれどやっぱり、この店の春巻の魅力にはあらがえない。同様に、フォーもフォーとて食べてみれば違いは歴然。フォーの種類に合わせそれぞれ牛や丸鶏、魚介から丁寧にとる無添加スープが味の決め手となっている。その味を手軽に試せるのが250円のカップスープ。優しく深みのある味わいで、店の良心を見る思いがする。
「よくある料理」で違いを、「珍しい料理」で感動を
だがオーセンティックの真骨頂は日本ではあまり目にすることのない料理であり、その多彩さには驚かされる。キャットフィッシュを油で煮込みディルを山ほど入れる「チャーカー鍋」、発酵スープで野菜や肉魚を食べる「マム鍋」などは松戸店のみの料理。ブン・チャーは、そうめんのような細麺に野菜と揚げ春巻き、豚肉、さつま揚げなどを合わせたれをかけて食べる。パクチーはもちろん、ミントや大葉といったハーブ類を野菜として食べるのがベトナミーズの面白さでありヘルシーさ。野菜の使い方を学ぶのにも、ベトナミーズは非常に有効だ。
「日本中の人々にベトナム料理の身震いするようなおいしさや、食べることが明日への活力を生むという食本来の意味深さを知っていただく発端になれたら無上の喜びです」
ふたりの著書にはこう記されている。バインミー、バインセオ、フォー・・・代表選手のあの料理だけではないベトナミーズを味わってみよう。不思議と舌になじむ、未知の味に驚くはずだ。
編集後記~シェフのオリーブオイルライフ!
オリーブオイルとベトナミーズ。一見、あまり関係はなさそうだけれど、欧米のベトナミーズではオリーブオイルを使うシェフも少なくないとか。オーセンティックでは現地にならい、ピーナッツ油やごま油を使っていますが、まかないや自宅での料理にはもっぱらオリーブオイルを愛用。オーガニックのもの、色々な銘柄、産地のものをどんどん試しているそうです。
「ピュアオイルは加熱する料理になら何にでもOKだし、エキストラヴァージンは香りを生かして仕上げに。からだにいいし香りが好きですから、料理ジャンルにかかわらず日々使っていますよ」
恒例のレシピ公開も、いつものメニューをあえてオリーブオイル(スペイン産エキストラヴァージン)で作ってもらいましたが、味わいはまさにベトナムそのもの!オリーブオイルの柔軟性が嬉しく、また驚かされた取材でした。
【ビストロ・オーセンティック(千葉・松戸)】
住所 ▶ 千葉県松戸市松戸新田24 京葉流通センター3-2
電話 ▶ 090-4013-8519
営業時間 ▶ 12:00~14:30(L.O)
18:00~21:00(L.O)
営業日 ▶ (松戸店)水土日祝(浅草店)火木金
定休日 ▶ 月(祝日は営業、その他不定休)
HP ▶ http://authentique.at.webry.info/