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菜花とオリーブオイル

春を感じる旬野菜のひとつ、『菜花』。アブラナ科のお野菜で、やわらかい茎や葉、つぼみの部分がおいしいですね。ほんのりとした苦みと、火を通したときに出てくる甘みは、オリーブオイルとも相性抜群です。春らしい味わいや香りを引き立ててくれるので、ぜひおすすめしたい組み合わせです。

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<菜花の種類>

『菜花』というと、まずは「菜の花」という名称で販売されているお野菜が思い浮かびますが、ほかにもいろいろと種類があります。
「かき菜」や、「のらぼう菜」、「オータムポエム(アスパラ菜)」、近頃たまに見かけるようになったイタリア野菜の「チーマディラーパ」、など。
どれも、つぼみをつける花芽の部分を摘み取ったもので、見た目の印象は似ていますが、風味や茎の部分の食感などに違いがあって、それぞれのおいしさがあります。

「かき菜」は、茎は太めで繊維が固いのですが、火を通すとやわらかくなります。甘味がぐっと出て、ほのかな苦味とともに、バランスが良い味わいです。

「のらぼう菜」は、西東京~埼玉地域の特産野菜です。風味がありながらも、苦みやえぐみが少なくて食べやすい、とてもおいしいお野菜です。

「オータムポエム(アスパラ菜)」という品種については、「アスパラ」と名前についているように、アスパラガスに似た風味と、コリッとした食感があり、茎は細め。苦みがほとんどなくて食べやすいです。黄色い花がついたものもおいしくいただけるので、いろどりも春らしく演出できます。私の出身地の新潟県の上越地区でも栽培がさかんなので、私は親しみ深い素材です。

イタリア野菜の「チーマディラーパ」は、最近日本でも栽培しているところが増えてきたようで、たまに見かけることがあります。オリーブオイルと一緒にくたくたに加熱して、ショートパスタでいただくプーリア地方の伝統的なお料理がありますが、ほろ苦みとオリーブオイルのコクを活かすという点は、とても参考になっています。

旬の菜花にも、種類の幅があるのはとても楽しく、味わい方が広がります。
特長はそれぞれありますが、使い方や調理方法は大きくは変わらないので、素材と出会ったら、旬のうちにぜひ色々と手に取ってみてください。

<オリーブオイルで蒸し炒め>

菜花の種類についてご紹介をしましたが、共通しておすすめしたい調理方法があります。
「オリーブオイルで蒸し炒め」にする、という方法です。

菜花の下ごしらえは、まず「ゆでる」というイメージがあるかもしれませんが、「オリーブオイルで蒸し炒め」にすると、ゆで汁に野菜の持ち味が逃げず、野菜の風味、うま味、甘みが凝縮した味わいになりますし、オリーブオイルの風味もまた、味の奥行きを出してくれます。
シンプルにそのままいただくのはもちろん、お浸しにするにも、あえものなどの下ごしらえとしても、パスタの具にするときも使える方法です。

食べやすい長さにカットしたら、フライパンにオリーブオイルを熱して菜花を入れ、ジュワーっと音がしたら、水(1/4カップくらい)を加えて塩(少々)をふり、フタをして火が通るまで蒸します。水気はほとんど残らないと思います。
ゆでて下ごしらえをするよりも、お湯を沸かす手間がないので時短になりますし、素材の味わいがより活きると思いますので、ぜひやってみてください。

お肉や魚介類と炒めものにするのであれば、菜花の前に、肉や魚介類を炒めて火を通したところに加えて同様に。
パスタにするのであれば、加える水分はできればパスタのゆで汁が良いです。
蒸す調理が向いているあさりを合わせる時は、菜花と一緒のタイミングであさりをフライパンに入れると、ふっくらと身に火が通り、あさりのだしも菜花にしみ込んで、おいしく仕上がります。

<合わせる食材について>

私が気に入っている、おすすめの組み合わせや、調理について、いくつかご紹介したいと思います。

まずは、フレッシュトマトとの組み合わせ。和風にお浸しにしてみるのはいかがでしょうか。
菜花を蒸し炒めにしたら、カットしたフレッシュトマトと一緒に、しょうゆ味のだし汁(めんつゆを希釈したものでもOK)に浸します。味がしみたら、食べるときに、オリーブオイルを風味づけに少々。トマトの酸味がうつっただし汁がまろやかになり、風味が抜群です。

卵と組み合わせるのもおすすめです。
蒸し炒めにしたところに、水気が残っていたら捨ててオリーブオイルをちょっと加えて溶き卵を流し入れ、オープンオムレツに。ぎゅっと味わいが凝縮した菜花と、まろやかな卵の味わいが一体になって、とてもおいしいです。モッツァレラチーズやカッテージチーズ、パルメザンチーズをお好みで加えると、ご馳走感がアップします。

貝類との組み合わせもぜひ。
あさりやはまぐりは、菜花と旬も重なりますし、相性もとても良いと思います。蒸し炒めの項でも触れましたが、一緒に蒸し調理をすると、貝のうま味がしみて、菜花の美味しさもぐっと引きあがります。蒸す時に、白ワイン、もしくは日本酒を少々加えると、より深みのある味わいに仕上がります。ムール貝やむき牡蠣、帆立貝柱でもいいですね。
ぜひ、仕上がりにもオリーブオイルをひとかけして、オリーブオイルの香りと風味とともに味わってみてください。

春の味わいを、ぜひ、オリーブオイルで色々とお楽しみください♪

 

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